【イトキン株式会社】アパレル業界への深い知見に基づいた支援でECサイトの売上高・ROAS向上を実現


  • アパレル企業にとって、年々重要性が高まるEC事業。大手アパレル企業のイトキン社も、自社ECサイトに注力しているものの、投下した広告費に対して十分な効果を得られていないという課題を抱えていた。
  • 広告の知見とアパレル業界への知見に基づき、ダイナミック広告のタグの見直し、広告配信プラットフォームの精査、クリエイティブの精度向上など多岐に亘る施策を提案・実施。
  • Lifunextの支援開始後、前年比でROASは105%、売上高109%を達成(2021年度、2022年度比較。Lifunext支援開始は2021年度下期~)
目次

はじめに

アパレル業界で年々重要性が高まっているECサイト。経済産業省が2022年8月に発表した『電子商取引に関する市場調査の結果』によると、2021年のアパレルECの市場規模は2兆4,279億円で前年比9.35%の成長、EC化率は21.15%に達しました。この成長機会を取り込むべく、アパレル各社は自社ECサイト運営、ファッションモールへの出展などEC事業の拡大に注力しています。Lifunextは2021年8月より、イトキン株式会社(以下、イトキン社)のEC事業を支援しています。「a.v.v」「MICHEL KLEIN」「HIROKO KOSHINO」など有名ブランドを展開し、売上高326億円(2023年1月期)の大手であるイトキン社。しかし、自社ECサイトで思うような広告効果を得られていないという課題を抱えていました。イトキン社のカウンターパートはEC事業部門で、執行役員 兼 部門長とECストア担当者の計4名。Lifunextはコンサルタント2名がご支援しました。

Lifunextに依頼に至った経緯

イトキン社では自社ECサイト「ITOKIN Online Store」のROAS(Return On Advertising Spend:広告費用対効果)が目標に達していない(=投下した広告費に対して、期待した売上・集客を得ていない)という課題を抱えていました。様々な対策を打ったものの十分な効果を得られず、共に課題を解決できるパートナーの公募を実施、複数の代理店がエントリーした中でLifunextを選出いただきました。Lifunextを選出いただいたのは、コンサルタントがアパレル業界の知見・経験を持っていたことが大きかったそうです。例えば、アパレルECでは、業界慣習として月に数回の定期セールを実施しており、その都度広告を差し替える必要があります。Lifunextの提案はそうしたアパレル特有の事情や商習慣を踏まえていたとして評価いただきました。

Lifunextによる取り組み内容

Step1:KPI設定

イトキン社ではそれまでも様々な対策を行っていましたが、その効果を測定するKPIとして「売上」と「会員登録数」を並行して追っていました。いずれもECサイト運営において重要KPIですが、効果的な広告配信の設定や効果的な施策も変わってきます。もちろん両方を同程度追求できることが理想ですが、ROASの改善を急いでいる状況下では、当面の間は優先順位をつけてリソース配分を傾斜させる方が戦略的に望ましいと判断しました。

そこでイトキン社と会話をし、当面は「売上」を第一優先とすることで合意しました。当時はコロナ禍中、店舗売上が減少していたことなどが背景にありました。

Step2: KPIを達成するためのアクションの実施

KPIの第1優先を「売上」に設定し、以下のアクションを早急に実施しました。

①ダイナミック広告の「タグとフィードの一致率」の改善

<課題>

アパレルECで特に重要な広告手法が、ユーザーのサイト閲覧履歴を基に最適な広告を配信する「ダイナミック広告」です。そして、ダイナミック広告の効果を最大化させる上で重要なのが「タグとフィードの一致率」です。サイトに埋め込まれ、ユーザー行動を計測する「タグ」に紐づいた商品情報と、配信先にデータを送る「フィード」に紐づいた商品情報の一致率が高い程、ユーザーの関心に近い商品を広告配信できているということになります。多様なブランドを展開し、規模の大きいイトキン社のECサイトでは同時期に扱う商品数が数万点に上るため、膨大な数のタグ設置・管理を行う必要があります。当時のECサイトの一致率を調べてみると40%台にとどまり、まだまだ改善余地があることが分かりました。

<アクション>

タグとフィードの一致率を向上させるため、タグ設置の改善に着手しました。タグ設置はサイト構造に依存するコーディングマターであるため、Lifunextではパートナー企業のエンジニアと協力し、調整を行いました。その結果、一致率は80%程にまで改善しました。

②広告配信プラットフォームの精査

<課題>

イトキン社では、複数の広告配信プラットフォームを利用していました。一見、配信プラットフォームが多い程、多くの消費者にリーチできて良いのではないかと思われがちですが、実は各プラットフォームの配信先が重複して同じページに同じ広告が表示され、コンバージョンを奪い合うことが多々発生します。これは無駄な投資、ROAS低下の要因となる可能性があります。また、プラットフォームが多い程、管理工数が掛かるというデメリットもあります。

<アクション>

Lifunextでは「Actual RTG分析」と「Google Analytics」を併用し、どのプラットフォームが成果を上げているのかを多角的に分析し、プラットフォームを厳選しました。「Actual RTG分析(※1)」とは、Lifunextが独自に提供している分析サービスです。各広告がどれ程売上の純増に影響を及ぼしているか、統計学に基づき影響度を定量化します。この分析結果を基にプラットフォームを厳選し、これによりコスト削減に繋げました。  (※1:Actual RTG分析の詳細:「Actual RTG分析」、デジタルマーケティングの無駄コストを発見に)

③広告配信プラットフォームごとの配信方法の最適化

課題>    

プラットフォームを厳選したことで管理工数も削減、そのリソースを活用して、プラットフォームごとに最適な方法で配信することでROASを向上できると考えました。

<アクション>    

実際の運用を通じて、各プラットフォームで様々な配信方法をトライし、効果検証を実施することで、プラットフォームごとに最も効果的な配信方法を見直しました。例えば、あるプラットフォームでは「自動入札」よりも「手動入札」の方がパフォーマンスが向上しました。実は週ごとにトレンドが変わるアパレルでは、過去のデータに基づいて行動する自動入札よりも、担当者のリアルなトレンドを反映できる手動入札の方が良い結果を出すことも多々あります。(まさに、人がテクノロジーに勝つ瞬間です!)

④広告クリエイティブのコンサルティング

<課題>

イトキン社のクリエイティブチームが広告クリエイティブを制作しています。そこにLifunextならではの広告運用の観点を取り入れることで、より効果的な広告クリエイティブを目指しました。

<アクション>

広告クリエイティブは、イトキン社のクリエイティブチームが制作しています。新たにクリエイティブを制作する時、Lifunextからは広告効果を得やすくするための広告視点の提言を行い、イトキン社からはアピールしたい商品や過去の経験からの提言をいただくことで、広告と商品と両方の視点を織り込んだ広告クリエイティブを制作することができました。そして、そのクリエイティブの効果検証を繰り返すことで、クリエイティブの精度を向上させることができました。

入稿フローの改善

<課題>

アパレルECでは毎週のようにセールを実施しています。以前は週ごとにスケジュールを区切り、広告クリエイティブの制作・入稿作業を行っていました。しかし、週ごとと細かく区切ることによって業務に非効率が発生していました。また、ミスを誘発し、管理工数もかかるという点からもあまり望ましい状況ではありませんでした。

<アクション>

セールのスケジュール自体は2か月前から決定しているため、Lifunextから月単位のフローへの切り替えを提案しました。同じ作業に一度に集中することが可能になり効率性が向上し、削減されたリソースを新たな施策に振り分けることが可能となりました。

その他にも、イトキン社で行っているEC事業以外の様々なマーケティング施策を月次会議でキャッチアップし、ECでも対応すべきことを検討するなど、イトキン社と密な連携を行うことで、マーケティングミックスの最適化に取り組みました。

成果

Lifunextの支援開始後、前年比でROASは105%、売上高109%を達成。

(2021年度、2022年度比較。Lifunext支援開始は2021年度下期~)

タグとフィードの一致率80%近くまでに改善し、売上高、ROASも目標をクリアすることができました。

<成果の要因>    

様々な施策を実施したので、色々な要素が重なりあっての成果ですが、特に実効性があったのが前提であるKPIの設定です。KPIを「売上」を優先させたことで、先ず対応すべきアクションを明確化することができました。
加えて、アパレルの業界慣習を踏まえた改善施策を実施したこと、そしてイトキン社と密に連携でき、積極的な議論を交わしたことで各施策の効果を最大化することができたと考えています。

今後のご支援について

無事、当初の課題であったROASの目標を達成することができました。しかし、ECの売上が大きく成長したことで、イトキン社内でのEC事業への期待感が高まり、さらに高い売上目標を見据えています。それに対応すべく、マーケティングミックスを活用しながら、売上に繋がる更なる施策を実施すると共に、いずれ手を入れることになる「会員数の増加」に向けた種蒔きも行っています。

【担当メンバーのコメント】

取締役常務 富田隆志

今回のプロジェクトで成果をあげた大きな要因は、イトキン社との深い連携のおかげだと考えています。イトキン社の皆さまが私たちを対等なパートナーとみてくださり、私たちも代理店の枠に捉われずにイトキン社の一員であるよう意識をしたことで、深い議論を行える良い関係性を構築できました。これにより互いの視点を各施策に織り込めたことで、各施策の効果を最大化できたと考えています。

コンサルタントリーダー Seo Hyeon Su(ソ・ヒョンス)

Lifunextのコンサルティングチームはデジタルマーケティングや広告にとどまらずクライアントの課題に真に向き合うことを最も大切にしており、それが上手く機能したのが本事例であると考えています。クライアントが直面する多様な課題に対して代理店の枠に捉われずに一緒に解決の糸口を探り、共に乗り越えていくことで、私たちはケイパビリティを拡大してきました。今後も同様のアプローチで、クライアントと共に成長していきたいと考えています。

イトキン株式会社

「a.v.v」「Sybilla」などの多彩なブランドを有するアパレルメーカー

各種正規パートナー

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