市場分析のフレームワーク12選!戦略につなげる活用法を紹介

市場分析のフレームワーク12選!戦略につなげる活用法を紹介

市場分析は、効果的なマーケティング戦略を策定するうえで欠かせない要素です。今回は、市場の詳細を把握するのに便利なフレームワークや、戦略につなげるための市場調査の手順を解説します。フレームワークの活用で、効果的な戦略を組み立てましょう。

目次

市場分析で明らかになる4つの情報

市場分析とは、企業が持続的に競争力を維持するために、業界や競合の動向、市場の変化屋特性を把握することです。マーケティング戦略を策定する基盤ともされており、分析を通じて企業は市場の現状を把握し、戦略的な意思決定に役立つ情報を獲得できます。

市場分析は、主に以下の4つの情報で成り立っているといわれています。

  • 市場規模
  • 市場動向
  • 競合状況
  • 顧客のニーズ・課題

実際に市場分析を行う際は、さまざまな分析手法やフレームワークを用いて、上記の情報を明確化しなければなりません。まずは市場分析を構成する4つの要素を詳しく見ていきましょう。

1.市場規模

市場規模とは、業界における市場の総取引額や参画している企業数、シェア率など、市場そのものの大きさです。市場規模を把握することで、自社が現在参入している、または参入を検討している市場の全体的な大きさや成長可能性を評価できます。

また、需要と供給のバランスを見極めるためにも市場規模の情報が用いられます。自社の製品やサービスがどの程度の顧客に受け入れられる可能性があるか、またその市場での成長余地がどのくらいあるかを予測するために必要です。

2.市場動向

市場動向とは、特定の期間における市場成長率や消費行動の変化など、市場の需要と供給における「流れ」のことです。市場は常に一定ではなく、消費者ニーズの変化や景気変動など、さまざまな要素によって絶えず変動しています。

商品の販売で長期的な利益が見込めるか判断するには、この市場動向の情報が欠かせません。市場動向では、最新の情報だけでなく過去のトレンドや取引規模の推移といった情報も参照します。

3.競合状況

競合状況とは、自社と類似したビジネスモデルまたは同ジャンルの商品を取り扱っている競合他社の市場シェア率や売上推移など、ライバルにあたる企業の情報です。競合状況を把握することで、企業は市場における他社との違いや、市場内のポジション、自社の強みや弱みを明確化できます。他社と比較して競争優位性を構築するヒントを得るには欠かせない要素といえるでしょう。

4.顧客のニーズ・課題

顧客のニーズや課題とは、業界や同ジャンルの商品に対して、消費者がどのような要素を重要視しているか、どのような悩みを抱えているかの情報です。商品開発においては、消費者の悩みを開発した商品で解決できるのか、商品の仕様をどのような形にするのかを考えなければなりません。

このようなときに活用されるのが「顧客の声や要望」です。ほかの3つの要素よりも定性的な情報にあたるため、活用するには顧客に対する理解力が求められます。

市場分析にフレームワークを活用するメリット

市場分析においては、フレームワークの活用が成功のカギを握るとされています。具体的な手法については後述しますが、まずここではなぜフレームワークを活用したほうがよいのか、そのメリットを見てみましょう。

包括的に情報の把握と整理ができる

市場分析では、市場規模や顧客のニーズなど、多角的な視点から市場を理解する必要があります。情報を網羅的に把握して要素を整理するには、手法が確立されているフレームワークを使うのが効果的です。論理的かつムダが少ないため、余計な情報に惑わされずに済みます。

例えば、3C分析やSWOT分析といったフレームワークは、競争環境、顧客ニーズ、そして自社の強みや弱みを体系的に把握できます。主観的な視点から脱却して客観的なデータに基づいた戦略的な意思決定ができるため、ビジネスの方向性を明確にする助けにできるでしょう。

型を覚えて調査をスムーズに行える

既に手法として確立されているフレームワークを覚えることで、別の商品や事業を展開するときに応用が利きます。調査や分析のプロセスが1つの型としてできあがっているため、扱う情報を変えれば異なる市場でも応用可能です。

例えば、後述するPEST分析を習得しておけば、異なる業界や地域での市場分析にも応用できるため、市場分析をスムーズに行えます。

リソースのムダも省けるため、その後の市場調査やプロモーションなど、別の施策に予算や人員を割けられるでしょう。また、チーム全体で共通のフレームワークを使用することで情報共有が円滑になり、ミスや情報の行き違いを未然に防げます。

市場分析で活用するフレームワーク

市場分析に用いるフレームワークは、主に「現状分析」「競合分析」「顧客分析」「その他」に大別されます。それぞれの具体的な手法は、以下の通りです。

現状分析のフレームワーク3C分析
SWOT分析
競合分析のフレームワークPEST分析
5F(ファイフォース)分析
顧客分析のフレームワークRFM分析
AIDMA
AISAS
SHIPS
DECAX
その他のフレームワークファネル分析
4P分析
バリューチェーン分析

フレームワークごとで得られる情報は異なるため、参入する市場や必要とされる情報に基づいて複合的に選定を行いましょう

現状分析のフレームワーク

市場分析の第一歩は、自社の現状を理解することです。そのためにも、自社の内部環境と外部環境を分析して、現況を見える化しなければなりません。

3C分析

3C分析とは、企業を取り巻く3つの主要な要素「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の観点から市場を分析する手法です。自社の課題を列挙した後に各要素へ振り分け、事業の内容を評価して事業の成功要因を特定します。

各要素のうち、顧客と競合は外部要因、自社は内部要因です。シンプルな構造なため、高度なスキルがなくても実践しやすく、内容がブレにくい特性を持ちます。

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の要素を列挙して「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の4つに分類して自社の競争力を明確化する手法です。強みと弱みは内部環境、機会と脅威は外部環境として分類します。

各要素を評価することで自社の現状を客観的に把握し、弱みを補完する施策や強みを押し出す方法を模索できます。

競合分析のフレームワーク

競合分析は、自社と競合の違いを明確化するだけでなく、どのように他社と差別化を図るかを決めるうえで重要な情報です。フレームワークを使用すれば、市場のなかで自社がどこに位置しているか把握できるため、差別化を図るべき競争相手を特定できます。

PEST分析

PEST分析は「政治(Political)」「経済(Economic)」「社会(Social)」「技術(Technological)」の4つのマクロ環境を評価するフレームワークです。「マクロ環境」とは、自社でコントロールできない外部要因のことです。例えば、景気や物価といった指標は、1企業でコントロールできるものではありません。

PEST分析で各要素を分析することで、企業は自社に影響を与える外部環境の変化を理解し、将来的なリスクや機会を予測できます。例えば、物価の上昇が消費行動へどのように変化を与えるか予測しておけば、事前に対策が可能です。

5F(ファイブフォース)分析

5F(ファイブフォース)分析とは、マクロ環境の要因から自社の脅威やその可能性を把握する手法です。「競合他社」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」「代替品の登場」「新規参入」の5つの要因から市場を評価します。

参入障壁は自社の強みや弱み、顧客ニーズも関わってくるため、3C分析やSWOT分析と併用するのが基本とされています。

顧客分析のフレームワーク

顧客分析は、消費者の行動、ニーズを理解して商品開発やプロモーションへつなげるうえで欠かせない要素です。ターゲティングや販促の手法にも影響を与えるため、経験や勘といった主観的な手法だけでなく、フレームワークを用いた客観的な情報も求められます。

RFM分析

RFM分析とは、顧客の購買行動を「Recency(直近の購入)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標に基づいて分析する手法です。

企業はこれらの要素の分析によって顧客の価値を定量的に評価し、最も重要な顧客層を特定できます。また、顧客のロイヤルティを測定し、マーケティング施策の優先順位を決定する際に有効です。

AIDMA

AIDMA(アイドマ)とは、消費者が購買に至るまでのプロセスを「Attention(注意)」「Interest(興味)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」の5段階で表現するフレームワークです。このフレームワークを活用すれば、消費者が製品やサービスに対してどのように反応し、購入に至るかの課程を具体化できます。広告や販促の内容を考える際にも用いられる手法です。

AISAS

AISASとは、消費者の購買行動を具体化するフレームワークです。AIDMAと違い「Attention(注意)」「Interest(興味)」「Search(検索)」「Action(行動)」「Share(共有)」の5つの要素から成り立っています。

AIDMAは感情を主体とした購買行動を分析するのに対し、AISASでは「商品やサービスの検索」が起点です。そのため、SNSやオンライン広告が重要な役割を果たす現代においては、AISASが有効なフレームワークとされています。

SHIPS

SHIPSとは、ソーシャルメディアを起点とした顧客行動を分析するためのフレームワークです。「Share(共有)」「Help(支援)」「Inspire(感化)」「Participate(参加)」「Solve(解決)」の5つの要素から構成されており、主にSNS上での顧客行動を理解するために用いられます。

DECAX

DECAXとは、SHIPSと同様にSNSが普及した時代に適したフレームワークです。「Discovery(発見)」「Engagement(関与)」「Check(確認)」「Action(行動)」「eXperience(体験)」の5つの要素に基づいて消費者の購買行動を分析します。特に、オウンドメディアやWeb広告など、コンテンツマーケティングの戦略策定において有効です。

その他のフレームワーク

これまで紹介した分析手法以外にも、企業が市場分析を行ううえで活用できるフレームワークは多数存在し、現在も新たな手法が続々と確立されています。そのうちの代表的なフレームワークをいくつか見てみましょう。

ファネル分析

ファネル分析とは、認知から購買までの顧客の行動を段階的に分析する手法です。「資料請求する」「広告をクリックする」など、どの段階で顧客が離脱しているのかを歩留率として可視化し、その原因を特定します。

また、購買プロセスごとの心理状態を考えることで、商品販売のペルソナ設定にも役立てられます。競合も含めて分析し、自社の購買プロセスと比較してコンディションを把握することも可能です。

4P分析

4P分析とは、マーケティング戦略を立案する際に活用される基本的なフレームワークです。「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」の4つの要素を分析し、自社の商品やサービスが市場でどこに位置づけられるべきかを明確にします。具体的なマーケティング企画を構築するうえでも欠かせない手法です。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、商品販売における活動を「主活動」と「支援活動」に分け、各工程が生み出している価値を評価する手法です。主活動には「製造」「物流」「販売」といった購買に直接関与する工程が含まれ、支援活動には「人事管理」「技術開発」など間接的に購買に関与する要素が含まれます。

この分析により、企業はどの活動、または工程が最も価値を生み出しているのか、コスト削減や効率化の余地があるのかを特定できます。

市場調査の進め方

市場調査は、企業がマーケティング戦略を策定するうえで、市場に関わるデータを収集するプロセスです。以下では、市場調査やフレームワークの設定を進める基本の手順を解説します。

市場調査の目的を定める

市場調査を始める前に、マーケティング戦略の目的やゴールを明確化しなければなりません。市場調査は「調査→戦略」の順番で進めると思われがちですが、効果的に調査を進めるには戦略の大枠から仮説を立て、逆算して調査設計をするのが理想です。

市場分析のフレームワークを決める

市場調査の目的が定まったら、それに最適なフレームワークを選択します。各フレームワークには独自の強みと弱みがあるため、目的に応じて最も効果的なものを選びましょう。例えば、競合他社の動向を詳細に分析する場合には、PEST分析や5F分析が適しています。明らかにしたい要素や情報の深度によって選ぶべきフレームワークは異なるため、複合的に実施するのが理想です。

フレームワークを用いて分析を行う

次は、選定したフレームワークを用いて実際に市場分析を行います。この際、複数のフレームワークを組み合わせて、多面的に情報を分析しましょう。例えば、前述した5F分析はSWOT分析と3C分析を組み合わせることで、内部および外部環境を包括的に把握し、より精度の高い戦略を策定できます。

戦略を立案する

市場分析を行った後は、その結果を基に戦略の詳細を設計します。分析結果を踏まえ、自社の強みを活かし、弱点を補う戦略を構築しましょう。市場分析を行うことはゴールではなく、そこから得られた情報を基に、戦略や具体的な施策内容へ落とし込むことが重要です。企業の競争力を高めるためにも、持続的な成長を支える戦略を構築しましょう。

ただし戦略から調査方法を設計するにはマーケティングに対する経験や技術が必要です。自社に充分なノウハウがない場合は、マーケティング専門の会社に相談するのもよいでしょう。

フレームワークの活用事例

フレームワークを掛け合わせた活用事例として、マーケティング戦略のミドルファネル施策に対して、ファネル分析とLifunext独自の分析フレームワークを組み立てたものです。

商品の選択ポテンシャルとカテゴリの利用確率の網掛けをセグメントで表示し、優先してアプローチすべき領域を可視化したものです。アプローチが必要な領域はファネル分析を行い、払拭すべき工程を抽出します。これにより、ポテンシャルの高いセグメントのマーケットシェアセグメントが明確化できます。

まとめ:市場分析にフレームワークを活用して戦略策定につなげよう

市場分析は単なるデータ収集ではなく、そこから得られた情報を基に戦略を策定し、実行に移すことが重要です。市場分析のフレームワークを活用することで、企業は市場の環境や自社のポジション、競合の現況を把握し、競争力のある戦略を構築できます。

市場分析や戦略立案において困難を感じる場合は、専門家の助言を求めることも1つの方法です。高度な知識と豊富な経験を活用することで、より効果的な戦略を策定し、企業の成長を促進させられるでしょう。

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