市場調査の10のやり方と6つのステップ!戦略に落とし込む秘訣を紹介

市場調査の10のやり方と6つのステップ!戦略に落とし込む秘訣を紹介

精度の高いマーケティング戦略を策定する上で、商品を世に出す前の「市場調査」は重要な役割を担います。今回は、商品のマーケティング戦略においてターゲティングやプロモーションの精度を上げるための市場調査のやり方について解説します。

目次

市場調査とは?

市場調査とは、企業のセグメントにおける市場や消費者のニーズ、競合の動向を把握し、マーケティング戦略の策定に役立てるためのデータを収集するプロセスです。商品の開発においては、多くの企業が戦略に基づいたターゲティングやプロモーションを行います。

その際、現在の市場で重視されている要素や消費者のニーズを捉えるためにも、市場調査の実施が欠かせません。適切なやり方で市場調査を行うことによって、顧客に対する理解が深まり、競争力の強化が期待できます。

市場調査の主な10の方法

市場調査にはさまざまな方法やフレームワークが存在します。目的やセグメントによって最適な方法は異なるため、実施においては各手法の得意不得意を理解した上で選定しなければなりません。

なお、市場調査の方法は、「定量調査」と、「定性調査」の2種類に分類されます。今回紹介する手法の概要は、以下の通りです。

定量調査アンケート
二次データ調査
電話調査
コンジョイント分析
  定性調査インタビュー調査
街頭調査
覆面調査
ホームユース調査
ショップアロング調査
定量調査+定性調査セグメンテーション分析

アンケート

市場調査のなかで最も一般的かつ取り組みやすい方法が「アンケート調査」です。アンケートは、消費者やターゲット層に対して質問を行い、その回答を基にデータを収集して分析を行います。一昔前はアンケート用紙を使った方法が主流でしたが、近年はネットリサーチやSNSなどインターネットを用いた形式が主に用いられています。

具体的な実施方法は、以下の通りです。

  • オンラインアンケート
  • 電話アンケート
  • 郵送アンケート
  • 会場アンケート
  • ミステリーショッパー
  • 街頭アンケート

アンケート調査は実施コストが低く、不特定多数の回答を得られる点がメリットです。一方で、アンケート調査の存在を周知できる層が限られるため、サンプルに偏りが生じる可能性があります。

二次データ調査

二次データ調査とは、既に存在するデータやレポートを利用して市場や競合の情報を収集する方法です。主に「デスクリサーチ」と「データベースリサーチ」の2つに分類されます。

それぞれの具体例は以下の通りです。

デスクリサーチ公的機関の統計データ
業界レポート
市場調査レポート
データベースリサーチオンラインデータベース
学術論文

二次データ調査のメリットは、自社でデータセットを用意・作成する必要がなく、低コストかつ信頼性が高いところです。一方で、引用するデータが古い、または調査する市場に適合していないと信頼性が損なわれる点には注意しなければなりません。

電話調査

電話調査は、対象者に電話をかけて直接話を聞くことでデータを収集する方法です。比較的迅速に実施でき、調査対象をある程度絞り込んだ上でアプローチできます。ただし、必ずしも対象が電話に出てくれるとは限らず、回答率が低くなりやすい点には注意が必要です。また、オペレーターには対象のプライバシーに配慮するヒアリングスキルが求められます。

コンジョイント分析

コンジョイント分析は、消費者が商品を購入または利用する際、どの要素が購買に影響を与えているかを分析する方法です。主に商品のリニューアルや市場のニーズを把握するために用いられます。

実施する際は、商品に対する仮想のスペックを何パターンか用意し、各要素の組み合わせに対する感想を調査する方法が主流です。

コンジョイント分析は、購買に至る要素や優先順位を定量的に明確化できる点がメリットです。ただし、分析には高度な技術と知識が必要で、コストもかかります。

インタビュー調査

インタビュー調査は、対象者へのヒアリングでデータを収集する方法です。会場での対面またはオンラインで行われ、信頼性の高いデータを得られます。ターゲットの「生の声」を反映しやすく、より深いインサイトを得られる点がメリットです。

対面調査はインタビュアーかモデレーターのいずれかが現地に足を運ぶ必要があるものの、表情や言葉の抑揚など、読み取れる情報量と質が高い傾向にあります。オンライン調査はインターネット環境さえあればどこでも参加できるため、全国、全世界のユーザーに対して効率的に実施できます。

街頭調査

街頭調査とは、街中で通行人に対してインタビューを行う方法です。対象者がランダムに選ばれるため、普遍的なデータを収集できます。その場で回答が完結できる点が主なメリットといえるでしょう。その一方で街頭調査は断られるケースが多く、充分なエビデンスを集めるまでの所要時間が読みづらいというデメリットがあります。

覆面調査

覆面調査は、調査員が消費者を装ってサービスを利用し、その体験を元に評価を行う方法です。顧客目線かつ実体験に基づく評価が可能で、サービス改善のヒントを獲得できます。実際のサービス提供場面を評価できる点が大きなメリットですが、調査員の主観が入る点は避けられません。そのため実施においては評価基準を明確にする必要があります。

ホームユース調査

ホームユース調査は、商材を対象者に持ち帰らせて、実際に使用してもらった上でフィードバックを得る方法です。消費者がモニターとして商品を使用するため、現実的なエビデンスを収集できます。

ホームユース調査のメリットは、実際の使用環境でのフィードバックを得られる点です。覆面調査よりもリアルな感想を得られるため、エビデンスが少なくても信頼性は高いといえるでしょう。

一方で得られる情報は対象者に依存するため、モニターの層や属性が重複すると情報も偏りが生じやすい点に注意が必要です。

ショップアロング調査

ショップアロング調査は、調査員が消費者と一緒に買い物に同行、またはビデオ映像を用いて、購買の過程を観察する方法です。消費者の購買行動や意思決定プロセスを観察して、具体的なアクションを把握できます。

購買行動に関するフレームワークである「カスタマージャーニー」よりも消費者の行動や選択の理由を詳細に理解できる点が主なメリットです。一方で、調査に時間がかかり、対象者が調査を意識して行動を変える可能性がある点には注意しなければなりません。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、市場をいくつかのセグメントに分け、それぞれに適した戦略を策定するための方法です。例えば、プチプラ化粧品と高級化粧品では、購入するターゲット層が異なります。ほかにも「地域性」や「性別」など、各条件によってアプローチは変わるでしょう。

セグメンテーション分析では、ターゲットを明確に絞り込んで分類することで、効率的かつ精度の高いマーケティング戦略を策定できます。主なメリットは、市場のポジションやターゲティングの精度を上げられる点です。ただし、特定の顧客層に対して効果的な戦略を立てられる反面、セグメントが細かすぎるとマーケティングの効率が下がる可能性があります。

6ステップの市場調査のやり方

市場調査は、マーケティング戦略を成功させる基盤とされるプロセスです。調査を効果的に実施するためには、手順を定めた上で確実に進行することが求められます。市場調査の詳細は企業によって多少異なりますが、主に以下のやり方で実施されます。

  1. 目的・ゴールを決定
  2. 必要な予算の見積り
  3. 市場調査の方法を決定
  4. 調査の計画および実施
  5. 調査後の集計と分析
  6. 調査結果を元に戦略を策定

これから市場調査を実施する際は、上記のステップを基本としてスムーズな進行を目指しましょう。

ステップ1.目的・ゴールを決定

市場調査のスタートで重要なのは、調査の目的とゴールを明確に設定することです。なぜ市場調査を行うのか、どのようなデータを求めているのかを理解し、調査の方向性を明らかにします。

一般的に、調査を行ってから戦略を策定すると考えがちですが、実際には、戦略を仮説から構築し、そこから逆算して調査設計を行うのが理想的です。このアプローチでは、何を明らかにし、何を解消する必要があるのかを慎重に考えなければなりません。

非常に重要な考えですが、同時に最も難しい部分でもあります。具体的な施策は目的や戦略に基づいて策定されるため、設定が困難な場合はマーケティング専門の会社に相談するのもおすすめです。

ステップ2.必要な予算の見積り

次に、調査の実施に必要な予算を見積もります。市場調査のコストは、内製と委託、具体的な手法によって大きく異なるものです。例えば、内製ならコストを抑えつつ迅速に対応できますが、自社内に内製を実現する人材やノウハウなどリソースが必要です。

外部の場合、自社でリソースを用意せずに専門的な知見と精度の高いデータを得られますが、費用はかかります。調査内容や規模に応じて、適切な予算を確保することが成功のカギといえるでしょう。

ステップ3.市場調査の方法を決定

調査の目的と予算が決まったら、次に具体的な調査方法へ落としこみます。前述したように、市場調査には定量調査と定性調査の2種類があり、各特徴を踏まえて設定しなければなりません。

定量調査

定量調査は、調査内容が数字として表れるため、分析することで消費者の動向や販促に必要な要素を明確化できます。アンケート調査がその代表例といえるでしょう。

近年はスマートフォンやパソコンを用いる消費者も多いため、インターネットを活用したオンラインアンケートを実施するパターンが多いです。短期間で大規模なデータを収集でき、コストも抑えられます。

定性調査

定性調査とは、ターゲットへのインタビューや口コミの投稿など、消費者の深層心理や行動の背景など、数字で表せないデータを収集する手法です。消費者の「生の声」を反映できるため、製品・サービスの改善点やニーズを明確化するのに役立ちます。

定量調査と違ってニュアンスや個人の趣味嗜好に左右されやすいため、エビデンスの収集には率直な感想を収集できる仕組みを構築しなければなりません。

ステップ4.調査の計画および実施

調査方法が決まったら、次に「誰に」「どれくらいの規模で」「どの期間」で調査を行うかを計画します。

まず、調査対象者の明確化では、前述した「セグメンテーション分析」や「ペルソナ」と呼ばれるターゲティングのフレームワークが効果的です。年齢や性別だけでなく属性をより詳細に設定することで、得られるデータの信頼性が変わります。

規模と期間については、企業によって予算やスケジュールの許容範囲が異なるものです。調査数が少ない、期間が短いと、それだけデータが偏りやすく、信頼性を損ねてしまうかもしれません。予算とリソースを適切に配分して、可能な限りエビデンスを収集できるスケジュールを設定しましょう。

ステップ5.調査後の集計と分析

調査が終了したら、次にそのデータを集計し分析を行いましょう。集計では、調査結果を整理し、統計的な手法を用いて傾向やパターンを見つけ出します。このとき掘り下げる要素は「どのような傾向が見られるか」「顧客が求めているものは何か」「競合との違いは何か」の3つがメインです。これにより、具体的なマーケティング戦略や商品開発の方向性が見えてきます。

ステップ6.調査結果を元に戦略を策定

最後に、調査結果を元にして具体的な戦略を策定します。ここで重要なのは、得られたデータをどのように解釈し、実際の戦略に反映させられるかです。

Lifunextの取り組み事例では、調査で「マーケット構造の可視化」「ポテンシャル把握」「受容性分析」「収益Sim」の4つの要素を明確化し、一度戦略策定のテーマに立ち返ったのちに戦略設計のアプローチ方法を策定しています。

市場調査のゴールは戦略の策定です。調査結果を分析して終わるのではなく、分析結果を戦略や施策に落とし込んでこそ、初めて市場調査が成功したといえます。

まとめ:市場調査で得たデータをどう活用するのかが重要

市場調査で得られたデータは、単なる情報としてではなく、戦略の策定に帰属することが重要です。調査を通じて明らかになったニーズや課題に対して仮説を立て、戦略を策定し、実際のマーケティングや商品開発に落とし込むことで競争優位性を確立できます。

市場調査のやり方が目的やゴールからズレないためにも、戦略の大枠から逆算した設計にするのが理想です。ただし専門的な技術や知見が必要になるため、自社に十分なスキルとノウハウがない場合は、マーケティング専門の会社に相談してみることをおすすめします

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